VIRBAC SERVICE
ペットのお悩みQ&A
ペットの日頃気になることや
お悩みに役立つ記事をお届けします
愛犬に避妊・去勢手術は必要?メリットとデメリットについて分かりやすく解説!
犬を飼い始めると避妊や去勢をするべきかどうか、悩む飼い主さんは多くいます。
前向きに検討する場合でも、いざ手術となると多かれ少なかれ抵抗がありますよね。いずれにせよ、どのような影響があるのか理解してから判断することが大切です。
一方で、生殖器やその他の病気の治療のために、避妊・去勢手術がどうしても必要になるケースもあります。
本記事では、健康な、比較的若い犬での避妊・去勢について、飼い主さんが心がけることや具体的なメリットやデメリットを詳しく解説していきます。
犬の避妊・去勢手術は必須ではありません
健康な犬の避妊・去勢は義務づけられていないため、手術する・しないは自由です。だからこそ判断が難しく悩む方も多いのではないでしょうか。
手術に悩んでいる方は、まず以下に挙げる2点を心がけてみましょう!
手術のメリット・デメリットを理解した上で判断する
避妊・去勢手術を実施するかどうかについて、すべての飼い主さんに共通する正解はありません。
適切な判断にはメリットとデメリットの理解が必要です。もちろん愛犬の状態や飼い方などによっても変わります。そのため、自分たちの場合はどうなのか、具体的にイメージすることが重要です。
避妊・去勢するなら手術のタイミングには気を付けよう
手術の実施について、その有無は飼い主さんが自由に決めて構いません。ただし、タイミングに関しては注意する必要があります。
詳しくは後述しますが、手術は病気のリスクとも関係しているため、若いうちに実施することで得られるメリットは大きいです。
愛犬の将来的な健康状態まで視野に入れるなら、できるだけ早めに方針を決断したほうが安心ですよ。
犬の避妊・去勢のメリット
それでは犬の避妊・去勢の具体的なメリットをみていきましょう。手術のメリットは複数ありますが、そのなかでも特に大きいのは以下の3点です。
発情期のストレスがなくなる
メス犬は発情期にホルモンのエストロジェンの影響で、食欲不振や精神的にやや不安定になることがあります。
発情中には陰部からの出血もみられます。発情が終わってからしばらくすると、妊娠していないのに巣作り行動をしたり、乳腺が張って乳汁が出るような症状(偽妊娠)がみられることもあります。
一方、発情期のオス犬は、人や物、動物などへのマウンティングの増加や、攻撃的になったり、徘徊をすることもあります。
これらは自然な現象ではあるものの、犬にとって発情中の行動変化や、交尾ができない状況は、少なからずストレスとなってしまいます。また、飼い主さんも犬と生活する上で多くの注意が求められる時期になります。
避妊・去勢手術を受ければ、犬が異性の犬を求める本能が弱まるため、そのような状況に陥ることが少なくなります。
生殖器系の疾患予防ができる
未避妊の場合、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍をはじめとして、性ホルモンに関する病気を患うメス犬は珍しくありません。
また、未去勢の場合は精巣腫瘍や前立腺肥大のようなトラブルを抱えるオス犬も多く見受けられます。
このような加齢に伴って増える性ホルモン関連の生殖器疾患に対し、若いうちに避妊・去勢手術を実施することは合理的な予防策となります。
望まない繁殖を防げる
たとえ飼い主さんが望まなくても、発情期に交尾をして妊娠することがあります。
妊娠が成立する前(着床前)なら、ホルモン剤の注射で妊娠を防ぐこともできますが、必ず避妊が間に合うとは限りません。また、出産をさせた場合でも、子犬の今後について考えなければなりません。
いろいろとグッズを買いそろえたり、動物病院へ健診や予防接種に連れて行ったり、自分で飼えないなら新しい里親を探したりする必要があります。望まない妊娠であった場合は飼い主さんの負担はかなり大きいものとなります。
これらの事態を防げることも避妊・去勢の代表的なメリットといえます。
犬の避妊・去勢のデメリット
犬の避妊・去勢手術には以下のようなデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも考慮して手術を判断していきましょう。
繁殖はできなくなる
当然ですが、避妊・去勢手術で生殖器を摘出していると、後から愛犬の子犬が欲しいと思っても叶えることはできません。
最初は繁殖は不要だと考えていても、愛犬と過ごす時間が増えるにつれて、気持ちが変化することも十分考えられます。
「愛犬と血のつながった子犬が欲しい」と感じる場合は慎重に考えていきましょう。
手術の影響による体調不良のリスクがある
人間も同じですが、器官を摘出する手術は体に負担をかけます。
また、手術中は麻酔によって、血圧や呼吸が想定以上に弱まることもありえます。それらの結果として、体調不良になるリスクがあることもデメリットの一つです。
また、手術前には、全身麻酔をかけても問題の少ない健康状態かどうか、検査をして確認をしますが、事前の検査では予測できないリスクとして、まれに麻酔剤へのアレルギーが出てしまう犬もいます。過度に心配する必要はありませんが、手術後は獣医師の指示に従って安静にし、愛犬の体調の変化には十分に注意しましょう。
尿失禁のリスクがある
避妊手術を受けると性ホルモンの分泌が減少し、その影響で尿失禁になるメス犬もいます。一方、オス犬の場合、尿失禁はあまり見られないようです。
さらに小型犬よりも大型犬の方が発症報告が多いので、メスの大型犬の飼い主さんは特に注意しておきましょう。
尿失禁は手術後すぐではなく、性ホルモンの減少に伴って数年経ってから発症します。排尿に関連する筋肉がうまく収縮しなくなり、緊張やリラックスなどをきっかけとして、尿漏れが起こりやすくなります。そうなった場合、ホルモン剤を用いて治療するのが一般的です。
肥満になりやすくなる
性ホルモンが減ることは肥満の原因にもなりやすいです。ホルモンバランスの変化により、基礎代謝がダウンしてしまうからです。
以前と同じメニューだと、消費カロリーが減少する分だけ太ってしまいます。避妊・去勢手術後の専用フードを選ぶなど、メニューの見直しが欠かせません。
成長とともにコンディションは変わるため、子犬から成犬になるタイミングも要注意です。状況や成長に合わせてフードの切り替えを検討しましょう。
【まとめ】メリット・デメリットを理解した上で避妊・去勢手術を受けるか決めよう
犬の避妊・去勢手術は、さまざまなメリットとデメリットがあるので、あらかじめ理解しておくことが大事です。また、動物病院でも事前に説明がありますので、獣医師とよく相談した上で手術をどうするか判断することも大切です。
起こりうる影響を慎重にチェックし、飼い主さんと愛犬にとって最適な選択をしていただければと思います。