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【インタビュー】「犬の力ってすごい」やさしく楽しい社会をつくる介助犬とは?|社会福祉法人日本介助犬協会様

介助犬という言葉をご存じでしょうか?
「人のサポートをしてくれるワンちゃん」というイメージがあっても、具体的にどんなサポートをしてくれる犬なのかは詳しく知らないという人は多いかと思います。
なかなか知る機会が少ない介助犬について、今回、社会福祉法人日本介助犬協会の後藤様にインタビューすることができました。介助犬と人の関わりから、協会の取り組みなど様々な観点からお話しを伺いました。
介助犬とは?人の世界観をも変える犬の存在
介助犬とは具体的にどのようなサポートをしてくれる犬のことですか?
介助犬は手足が不自由な人のお手伝いをしている犬のことです。
車椅子の人や杖を使われる肢体不自由者の人を対象に、落とした物を拾ったり、靴下を脱がせたり、携帯電話を持ってくるなどのサポートをしています。
肢体不自由者の人は、それぞれ体の状態が違います。そのため、介助犬はペアになる人に合わせてオーダーメイドでトレーニングをしています。最終的に障がい者の人が自立し、社会参加ができることを目的として介助犬の育成をしています。
現在、介助犬は全国で58頭、頭数も少ない分、知られていないのが現状です。介助犬よりも歴史が長い盲導犬は800頭いるので圧倒的に頭数が違います。
その人に合わせてオーダーメイドでトレーニングするのはなぜですか?
車椅子、肢体不自由者といっても体の状態が全く違うため、生活の中で必要とされるニーズも違います。
落とした物を拾う場合でも、その人の体の状態によって異なります。
例えば、物を奥まで持ってきてもらわないと受け取ることができないという人もいれば、奥まで持ってこられると、そこまで肘が曲げられないので、もう少し手前・外側が良いという人もいます。
その人によって同じ作業でもやり方が違います。体の状態とニーズを確認し、1頭1頭、覚えてもらうお仕事ややり方を変えていく必要があります。
訓練の中で大切にしていることはなんですか?
人側が工夫することが大切です。
例えば、犬に作業を教える時も、求めていることができなかった時は犬が悪いわけではなく人の教え方が悪いのです。その犬がどういう考えをしているのか、どういう視点でみているのか、きちんと犬側の立場になっていないからです。
人が不安になると犬も不安になります。犬から勉強させてもらうことも多く、犬の反応をみて犬に合わせながら訓練をしていくことが大事です。
介助犬の訓練は予想以上に大変な印象ですが、実際はどうですか?
訓練は犬の幸せを第一に行っています。「訓練って厳しいんじゃないの?」と誤解されることが多いのですが、実際はそうではありません。
介助犬になれるのは介助犬になってハッピーと感じる子だけです。実際に訓練をみていただくと基本的には遊びでやっている、犬たちも楽しくやっているということがわかると思います。
月に1回の見学会を実施
月に1回、訓練センターで見学会を開催しています。デモンストレーションや実際の介助犬の様子をみていただくことができます。
これまで印象に残っている介助犬ペアのお話があれば教えてください。
バリバリ働いていたキャリアウーマンで、難病になり寝たきりになったユーザーさんがいました。
寝たきりになった理由も「自分が動かなければ迷惑かからないよね」という理由からで、気持ちをふさぎこんでベットの上で生活をし、ずっと天井をみていたそうです。その後、入院先の病院で介助犬のことを知り、お問い合わせをいただきました。
無事訓練が終わり、介助犬との生活をスタートした後に言った言葉がとても印象的でした。「空ってこんなに青かったんだ」とおっしゃったのです。
空が青いって当たり前だけど当たり前ではない人もいる、その言葉を聞いて、そのユーザーさんの世界が変わったんだなと思いました。ユーザーさんの世界観を変えた犬の存在もすごいですよね。
このユーザーさんだけでなく、介助犬とペアになった人は普段の表情が変わります。皆さん、私たちが驚くくらい生活や人生の幅が広がっていくのをみて、犬の力ってすごいなと思います。
ビルバックジャパンと日本介助犬協会のつながり

エリックくん
ビルバックジャパンは、定期的に製品を提供し、役立てていただいております。
ビルバックジャパンのスキンケア商品の使用感はいかがでしたか?
主に訓練センターで使っています。
ビルバックさんからご提供いただくことでスキンケアの選択肢が増えるのが嬉しいです。
どの子にもあうシャンプーはないので、「これなら安定するよね」とその子に合わせてシャンプーできるのはすごくありがたいです。

左からエリックくん、ユウちゃん、ダリアちゃん
ビルバックジャパンのスキンケア商品と一緒に写真撮影
これまでシャンプー後の保湿はあまり気を使っておらず、ビルバックさんの商品で保湿をしたことで肌の状態が安定した子もいました。
これは私たちの中の発見でした!
また、介助犬になる子はラブラドールやゴールデンレトリバーなどたれ耳の子が多く、耳のケアも大切です。

エビスちゃん
耳のケアには、さわやかな香りのエピオティックを使用
ビルバックさんの商品は重宝しています。
ビルバックのスキンケア商品犬の皮膚の薄さは人間の1/3、犬も人と同じようにスキンケアをすることが大切です。ビルバックでは肌質に合わせたスキンケア商品を豊富に揃えています。
スキンケアの特集ページはこちら
イベントついて
今年の6月におこなっていた東北キャラバンについて、どんな取り組みだったのでしょうか?
もともと東北地方は介助犬の頭数がすごく少ない地域で、東北全体でユーザーさんと介助犬とのペアが4組しかいない地域でした。
1頭もいない県は知るきっかけもありません。そのままにしておくと介助犬がずっと誕生しないままになります。
もし、1頭でも介助犬が誕生すると、そのユーザーさんをみて介助犬を知る人が増えます。そして、そこから幅が広がります。
そういう背景があり、東北キャラバンを行いました。
東北キャラバンの反響はいかがでしたか?
約2週間かけて車で犬を連れて東北各地を回りました。東北6県すべてでイベントを行い、色々な新聞やテレビなどメディアにも取り上げていただきました。
期間中は協会側でもキャラバンを行っていることを大々的に情報発信をして、SNSで「ここにいます」「次ここに行きます」と投稿したり、それを他の地域の方が拡散してくれたり、YouTubeのライブ配信を見てくださる人がいたりと、たくさんの人が応援してくださいました。
多くの人の反応を感じることのできるイベントでした。コロナ禍でこういったイベントが減っていたので良い機会になったと思います。
毎年介助犬フェスタというイベントもやられてますよね。こちらはどんなイベントでしょうか?
イベントを始めたきっかけは、愛犬家の人に「介助犬って可哀想だよね」と言われることが多く、私たちとしても「まずは見ていただく機会をつくろう!」と考えたからでした。
最近はコロナ禍ということもありオンラインでイベントを行っています。それまでは愛知万博が開催されたモリコロパークで毎年開催していました。
犬連れで楽しんでもらいながら介助犬を知ってもらうイベントとして開催。最後にリアルで行った時には約7000名の人に参加していただき、犬も約300頭来てくれました。
介助犬を知ってもらうだけでなく、犬の飼い主さんのマナー向上も啓発しようということで、排泄の注意喚起や熱中症の声かけをするわんわんパトロールをつくり、ボランティアさんに回ってもらいました。
参加頭数が多いイベントですが、これまで事故もなく開催できています。「介助犬フェスタに集まりましょう!」と言ってくださる人もいて、愛犬家の人に来ていただけるイベントです。
介助犬フェスタは毎年5月に開催身体障害者補助犬法(補助犬たちが公共の施設に入れることが定められた法律)が制定されたのが5月22日ということで、毎年その近い土日に介助犬フェスタは開催されています。興味がある人は次回参加してみてはいかがでしょうか?
支援と今後の取り組みについて
介助犬になるまでに一頭当たり、どれくらいかかりますか?
訓練している頭数もいて、そこに医療費もかかってくるので、1組のペアとなるまでに1頭当たり240-300万円ほどかかります。
自治体により、助成が出る場合がありますが、助成金に頼ることもできません。なぜなら、助成金が出る場合でも、多くても180万円ほどなので、1組分がまかなえる金額にならないからです。
こういった背景もあり、皆様の募金から費用をまかなわせてもらっています。
支援方法について教えてください。
支援していただく方法は色々あります。
ホームページからの寄付や、継続的に支援していただく会員さんになっていただくこともありがたいです。また、SNS等で「介助犬知っていますよ」「知る機会がありましたよ」と発信していただくだけでも支援になります。
お金の面で支援していただくこともありがたいですが、介助犬を広めるお手伝いも嬉しいです。
本日はありがとうございました。最後に読者のみなさまへメッセージをお願いします!
まずは介助犬について興味をもっていただけると嬉しいなと思います。
介助犬のことを知っている人を増やす活動はすごく難しいことだと日々感じています。多くの人に知っていただくため、色々なところで介助犬を知っていただく機会を作ることが大切だと思っており、これからもイベントを継続的にやっていきたいと思っています。
介助犬がどのくらい役に立っているのかという視点だけではなく、介助犬はハッピーな犬であって、犬はただ楽しいことをしているだけ、特別な犬ではない、ということを知っていただけると嬉しいなと思います。
編集後記
今回は日本介助犬協会の後藤様にお話しをお伺いしました。
介助犬は日常の手助けをする存在というだけでなく、その人の考え方や生き方を前向きにさせる、その犬の力の凄さに、インタビュー中、終始驚かされました。
支援の形は様々です。介助犬が身近な存在になるよう、まずは「介助犬って知ってる?」とぜひまわりの人にお話しするところから始めてみてはいかがでしょうか?
日本介助犬協会様の関連リンク
社会福祉法人 日本介助犬協会公式ホームページ:https://s-dog.jp/
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