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【松本秀樹様×ビルバック】犬が足をひきずるのは痛いから?痛みがある時の対応方法

犬の痛みについて考えたことはありますか?

犬も人と同様、痛みを感じます。飼い主として愛犬の痛みに気付いてあげたいところですが、言葉を交わせないため、なかなか難しいですよね。

そんな犬の痛みについて、今回はゲストにドッグトレーナーの松本秀樹様をお招きし、株式会社ビルバックジャパン、マーケティング部所属・獣医師である川緑と【犬の痛み】について対談していただきました。

松本秀樹様プロフィール日本のペット番組史上最長寿となった『ポチたま』(テレビ東京・BSテレ東)に18年5ヶ月レギュラー出演し、まさお君・だいすけ君・まさはる君と旅をしていたタレント&ドッグトレーナー。現在はInstagramを中心に、犬のプロとして多方面で活躍されています。

獣医師 川緑圭吾プロフィール株式会社ビルバックジャパン マーケティング部所属。獣医師。犬・猫診療を主とした動物病院勤務を経て、現職ではデンタルケア・犬猫寄生虫駆虫薬・サプリメント製品の学術部門を担当しています。

 

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犬が足を引きずっている場合の対応方法

犬が足を引きずっている場合の対応方法

症状が繰り返されるかどうかが大事なポイント

松本―自称犬のプロとしてやっているので、SNSから様々な相談が来ます。困るのはケガや病気の相談です。

SNSでつながっているフォロワーさんから、うちのワンコが足を引きずっている、歩くリズムがちょっとおかしい、これは何でしょうか、という漠然とした質問もよく来るのですが、これはどういう判断をしたら良いのでしょうか。

川緑―例えば、お散歩をしていて小石を踏んでしまい、その一時的な痛み・違和感の場合もあります。こういう時は放っておけば治ることもあります。

ただ何かガラスを踏んでしまい、ずっとガラスが挟まっていて違和感がある、あるいは関節の痛みがずっとあるなどで足を引きずる場合もあります。

このような場合は症状が繰り返されるので、そこを確認するのが大事なポイントだと思います。

症状が繰り返される場合は関節や神経の病気の疑いがある

川緑―同じような症状が繰り返し起こる場合は関節の異常も疑われます。

関節の異常には、変形性関節症、膝蓋骨内方脱臼、股関節形成不全といったものがあります。

松本―足を引きずっている、足を痛そうにしているから足が悪い、という判断で良いのでしょうか。

川緑―ほとんどはそうだと思います。ただ一つ気を付けなくてはいけないのは、神経の病気との判別です。

脊髄の神経がおかしい時は、前足を動かそうと思っても、脳からの命令がうまく伝わらず、足をうまく動かせず、少し引きずるような動きになることがあります。

これは足の問題と思われがちですが、実は神経や脊髄、ヒトでいう椎間板ヘルニアのようなもので、手足のしびれ、若干動かしにくい、麻痺してしまっている、というところに近いです。

神経の病気との判別は必要ですが、それはもう飼い主さんには判断できないので、病院に判断してもらうべきことです。「足の動きがおかしいです」という話で御相談いただければ良いと思います。

症状が繰り返される場合は早めに病院で診てもらう

松本―まずは足の外傷であったり、何か挟まっていないか、踏んでいないか、といったチェックから始まって、それでも続くようであればいったん病院で診てもらう。

神経といった怖い病気の話が出ましたが、大きな、長くお付き合いするような病気もあるということですね。

川緑―繰り返されるのであれば長く様子を見ないで、異常が観察されてから1週間以内に再度症状が出たら病院へ行く、くらいのつもりで考えた方が良いと思います。

犬の痛みについて知ろう

痛いのかな?と思ったらまずは触ってみる

松本―飼い主としては、「早く原因を見つけてあげたい」「痛みを早く和らげてあげたい」と思います。まず飼い主として何をしたら良いのでしょうか。

川緑―触ってみるのは一つです。触って、キャンと痛がったりする場合は、痛みがある可能性が高いです。ハッピーな性格な子は、多少の痛みがあっても全然気にしない、触っても平気、という子もいます。

松本―うちのまさはるは、ボール遊びをする時の癖で、全速力で走ってストップする時に前足の肉球を使って急ブレーキをかけるのですが、これは地面によっては擦って前足の肉球がべろっとめくれる時があります。

帰って来て玄関で何か気にして舐めているなと思って見たら、結構大変な状態になっていることがありました。

ボール遊びが大好きなまさはる君

ボール遊びが大好きなまさはる君

川緑―夢中で遊んでいる時はあまり気付かなかったり、ヒトもそうかもしれないですね。お子さんもリラックスした時に、そういえば痛いな、と泣き出したりとか。

ただやっぱり犬の痛みで勘違いしてはいけないのは、犬は決して痛みに鈍感なわけではない、ということですね。

松本―昔はよく「犬は痛みに鈍感だから」と言われていましたね。

川緑―それは本当に間違いで、昔は獣医師の中でも、そういう誤った認識を持っている人がいました。現在ではその認識はかなり改善されています。

犬の3種類の痛み

川緑―痛みには大きく3種類あります。

  1. 急性痛:急に起こる鋭い痛み
  2. 慢性痛:じわじわとゆっくり長く続く痛み
  3. 癌性疼痛:がんになった時に出る痛み

という3種類がありますが、癌性疼痛は特殊なカテゴリーで、大きくは急性痛と慢性痛にわけられると考えてよいと思います。

急性痛というのは、先程、まさはるくんが肉球をすりむいてしまったという話があがりましたが、あれは急性痛で、鋭い痛みに区分されます。

気にして舐めたり、触ったらキャン、と言ったり、遊んでいる時は気付かなくても、家に帰って触ったら痛いというように急性痛は分かりやすいです。

一方、関節炎などは慢性痛に区分けされ、痛みが分かりにくいです。慢性痛に関してはずっと続いているので、気分がいい時は忘れることがあります。
また、慢性痛が原因であまり動かなくなったり、食欲が出なくなったりします。高齢の子だと他の場所の具合が悪いのかと、痛みに気付きにくいです。

動物のいたみ研究会と慢性痛判定シート

松本―獣医さんの中でも犬の痛みについて、考えてくれている人はいっぱいいらっしゃるんですか。

川緑―「動物のいたみ研究会」という団体があり、ビルバックジャパンはその団体に会社として協力をしています。プロフェッショナルであるわれわれ獣医師の中でも動物の痛みは気付きにくいというのは共通認識としてあって、患者さんはなおさら気づきにくいと思います。

患者さんに対して、動物がこういう行動をしていたら痛がっているかもしれないですよ、という、いわば痛みのサインをより多くの人に知ってもらうための啓発活動をやっております。

松本―そんな会があるんですね。それは頼もしいですね。

川緑―動物のいたみ研究会では、慢性痛判定シートとして特に気づきにくい慢性痛を見抜くポイントを10個あげています。

慢性痛判定シート

慢性痛判定シート

松本―へえー。これいいですね。

川緑―気付きにくい慢性痛を、おうちでなるべく早めに気付いて動物病院にかかれるように、動物のいたみ研究会ではこのような活動をしております。

他にも、痛みのプロフェッショナルの先生方に学会で講演していただいたり、患者さん向けに講演をしていただいたりと、より多くの方に動物の痛みの理解を深めていただき、すべての動物の痛みをできるだけ取り除いてあげられるように、日々活動しております。

松本―いいですね、普段のお散歩だったり食事をする動きの中で指標があると、気付きやすいかもしれないですね。

愛犬が痛い時の癖を見つけよう

松本―人間ってどこか痛いと、例えば肩が痛いと手で肩を触ったりしますが、犬にそういった行動はないのでしょうか。

川緑―気にして舐めるという動作はありますね。

例えば、膝のあたりをずっと舐めていて、実は膝の皮膚じゃなくて関節が痛かった、ということもあります。

松本―手足を舐めるというサインから、手足が痛いのか、それともストレスに対するものなのか、常同行動のチェックも必要ですよね。

川緑―おっしゃる通り、いわゆるストレスがかかると、動物はそれを紛らわせようとして舐める行動に出ます。ヒトだと貧乏ゆすりをやったりとか。ヒトでも癖が色々ありますよね。

松本―私、2代目旅犬のだいすけ君の胃捻転を見抜いた瞬間がありました。

だいすけ君は、痛い時に床を舐めるんです。床のずっと同じところを舐める。だから、あ、と思って、おなかを触ったらぱんぱんになり始めていて。回っている(胃が捻転している)なと思って。

川緑―その観察力はすごいですね。

松本―いつも一緒にいるから分かりました。痛い時の、そういった癖を見つけておくと良いかもしれないですね。

川緑―本当にそうだと思います。それが最初のうちは分からなくて、痛いのか痛くないのか、何が気になっているのか、というのが分からないので難しいです。

松本―私も色々と相談を受けて、結局行きつくところはいつも知っていることだよ、というお話をします。愛犬のことをどれだけ詳しく知っているか、その違いに気付けるか、といった話はよくします。

犬の痛みに関する病気について

犬の痛みに関する病気について

犬の痛みと関係が深い病気

松本―犬の寿命が伸びてきていますが、若い時や中年期、そしてシニア期など、どのゾーンで一番けがや病気などが出やすいのでしょうか。

川緑―1歳未満の子犬の時期とシニアの時期あたりですね。

生後半年くらいまでは骨が細く、やんちゃな時期でもあり、割と無茶な運動をすることもあって相談を受けることが多かったです。ただ、一時的な場合もあり、一晩経ったら治ってしまった、というケースもあります。

中には時々、生まれつき骨の発育に異常がある子や、膝蓋骨の内包脱臼あるいは大型犬に多い股関節の形成不全、ということがあります。

シニア期になると、今度はヒトと同じように、関節がすり減っていき、骨と骨が直接当たって痛い場合があります。これがいわゆる変形性関節症というものです。

他にも神経の病気だと変形性脊椎症があります。脊椎が少しずつ変形し、痛みが出ることもある病気です。

まさはる君がなった変形性脊椎症

松本―まさはるは変形性脊椎症になりました。10歳になった途端です。

朝のお散歩に行く準備をしていたら、普段は早く行きたくてピーピーピーピー鳴くのにその日はまったく鳴かなくて。サークルの中で伏せていました。

それで「ん?そんな日もあるのかしら」と思いながら準備を始めて、ピーピー言わないな、今日は静かだな、いい子だ、なんて声を掛けながら準備をしていて、サークルの扉をさっと開けたら出てこなかったんです。

伏せたままの状態でずっと私を見上げていて、「あれ、どうしたの?」と聞いてもずっと伏せたまま。お座りの指示を出すと、起き上がろうとするんですが起き上がれない。

よく観察すると、一番嫌な中心線と言いますか、先生がおっしゃった脊椎と言われるところですね。そこが痛そうだなと思いました。

川緑―すごいですね。さすがです。観察力がすばらしいです。

松本―Webでも調べて、恐らく脊椎症かなとその時思いました。

ゆっくりまさはるを動かしながら病院に行き、レントゲンを撮ってもらい、おそらくこれが痛いだろうなという箇所が見つかりました。とても急でした。

原因を先生にも聞きましたけれども、年齢としか言いようがないと。

川緑―変形性脊椎症という名前のとおり、脊椎のかたちが加齢とともに少しずつ変わっていく病気です。

変形性脊椎症になりやすい犬種

松本―例えばなりやすい犬種はありますか?大型犬、小型犬がなりやすいなど。

川緑―変形性脊椎症に関しては全犬種ですが、特に短頭種がなりやすいです。フレンチブルドッグは生まれつき脊椎が変形している子も時々います。

松本―それはそういう犬種ということですか?

川緑―犬種としての特徴と言えるかもしれません。ただ痛みが症状として出る子は意外と少ないのかもしれないですね。

松本―変形はしていても、ということですか。

川緑―そうですね。若い頃は特にです。

年を取ると、今までは多少変形していても筋肉で支えられていたのが、筋肉自体が弱ってしまって脊椎にかかる負担が大きくなり、痛みが出る。このような経緯で痛みが出ることはありますね。

犬の痛みのサインに気付いたら早めに相談しよう

松本―痛みのサインを見逃さないようにすることは大切ですね。

川緑―そうですね。先程紹介した慢性痛判定シートを是非活用していただいて、早めに気付いてあげることが大事だと思います。

松本―勘違いでもいいし、とりあえずこの行動が何を表すかは、はっきり診てもらった方が良いのかもしれないですね。

川緑―些細なことでもいいので、まず相談することが大事です。病院の方々も嫌がらないです。病院に行く習慣を是非付けていただくのが必要かなと思います。

松本―最初の痛みのサインを飼い主さんがちゃんと見つけて、どこの何がどれくらい悪いのかはプロの獣医さんに見つけてもらって、両者で頑張っていく、ということですね。

川緑―そうですね。それが一番ですね。

松本―どうもありがとうございました。

対談記事まとめ

ゲストに松本秀樹様をお招きし、犬が足を引きずっているという具体的な悩みから、犬の痛みや痛みが関わる病気について対談していただきました。

犬とは言葉を交わせないからこそ、気になる症状がでた場合は早めに動物病院へ受診することが大切です。動物のいたみ研究会が作成した慢性痛判定シートを参考にすることで犬の痛みのサインに気付きやすくなります。

さらに、愛犬が痛い時に見せる癖を見つけてあげることで早くに異変に気付いてあげられるかもしれません。「いつもと違うところはないかな?」といった意識を、普段のスキンシップから取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

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