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犬のスキップは要注意!「膝蓋骨脱臼(パテラ)」を知って予防や早期治療につなげよう

「愛犬がスキップのような動きをしている!」

 

一見、可愛いと感じてしまうかもしれない犬のスキップですが、そのまま放置するのはNGです。もしかしたら、多くの犬が発症する疾患「膝蓋骨脱臼(パテラ)」かもしれません。

この記事では、膝蓋骨脱臼、通称パテラの概要やグレード別の症状、治療法や予防法について、詳しく説明していきます。

犬のスキップ、まずは膝蓋骨脱臼(パテラ)を疑おう

犬のスキップ、まずは膝蓋骨脱臼(パテラ)を疑おう

膝蓋骨脱臼(パテラ)は、犬の後ろ足の膝蓋骨が正常な位置から外れる疾患です。膝蓋骨脱臼は英語で「Patellar dislocation」と言い、このうち膝蓋骨(膝のお皿)を指す「パテラ」の部分だけに省略して呼ばれることもあります。

犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)の状態

徐々に進行していくことが多いため、違和感に気付いたら早めの受診が肝心です。

パテラの原因と種類

初期にはスキップのような動きをすることがあり、重症になると歩行が困難になってしまうこともあります。

発症する主な要因は、

  1. 骨や筋肉の形成異常によって成長期に起きる先天的なもの
  2. 交通事故や転落、栄養障害など後天的なもの

の2種類です。

膝蓋骨は、通常、大腿骨(太ももの骨)にある滑車溝というくぼみにはまっています。脱臼の外れ方は3種類あります。

膝蓋骨脱臼の種類

  1. くぼみから内側へ外れるのが「内方脱臼」
  2. くぼみから外側へ外れるのが「外方脱臼」
  3. 両側へ外れるのが「両方向性脱臼」

このうち最も多く起きるのが内方脱臼で、片足だけでなく両足に起きることもあります。どの犬種も発症しますが、特に小型犬に多く見られ、先天的な要因の場合は、子犬の時期に発症することが多いです。

トイプードルは7頭に1頭がパテラを発症する

ペット保険のアニコム損害保険株式会社と、理化学研究所の共同研究チームが、日本における人気が高い9犬種を対象に行った調査によると、トイプードルの14.1%、実に7頭に1頭が膝蓋骨脱臼を発症していることが分かっています。0歳の子犬、合計2048頭を対象にした大規模調査です。

割合が高い順に、ポメラニアンの11.2%、柴犬の11.1%と続き、この疾患が珍しいものではないことが分かります。

【膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状】グレード別に解説

膝蓋骨脱臼は、症状の程度により4つのグレードに分けることができます。微小な違和感を察知し、早期に発見するためにも、チェックしておきましょう。

グレード1

具体的な症状激しい運動をすると正常な歩行ができなくなる、スキップする

普段は膝蓋骨が滑車溝に収まっていますが、後ろ足の膝を伸ばして膝蓋骨を指で押すと脱臼し、指を離すと自然に正常な位置に収まります。日常生活で脱臼を起こすことは少なく、飼い主が気づかないほどの微小な違和感であることが多いです。

激しい運動をすると脱臼して痛がる様子を見せたり、正常な歩行ができなくなったりすることがあります。スキップをするような動きもグレード1で見られるものです。

グレード2

具体的な症状後ろ足を曲げると脱臼し、足を地面に着けられなくなる

普段は膝蓋骨が滑車溝に収まっていますが、後ろ足を曲げると脱臼します。後ろ足を曲げ伸ばししたり、指で押したりしないと膝蓋骨は正常な位置に戻りません。

脱臼しているときは正常な歩行ができず、足を地面に着けられなくなりますが、足を曲げ伸ばししているうちに膝蓋骨が正常な位置に戻ることもあるため、日常生活を普通に送ることができる犬も多いです。飼い犬が頻繁に足を曲げ伸ばしして、脱臼の整復を試みているようなしぐさを見せたら、放置せずに受診しましょう。

膝蓋骨脱臼を繰り返すことで、骨の変形や靭帯への負担が引き起こされ、グレード3へ移行する可能性が高まります。

グレード3

具体的な症状脱臼したままの状態が続き、腰をかがめて歩いたり内股になる

膝蓋骨が正常な位置から外れ、脱臼したままの状態です。膝蓋骨を指で押すと正常な位置に戻りますが、一時的なもので、またすぐに脱臼してしまいます。

後ろ足を曲げて腰をかがめたまま歩いたり、内股になったりするため、「何かの病気なのではないか」と疾患に気付く飼い主が増える段階です。中には、歩行状態が変わらない犬もいますが、行動に異常がないように見えても、骨の変形は顕著になってきます。

グレード4

具体的な症状常に脱臼した状態が続き、地面に足をほとんどつけない状態で歩く

膝蓋骨は正常な位置から外れ、常に脱臼した状態です。膝蓋骨を指で押しても正常な位置に戻すことはできません。

骨の重度の変形により、ひざの関節を伸ばせなくなってしまいます。正常な歩行ができなくなり、後ろ足を曲げたまま、うずくまるように歩いたり、地面に足をほとんどつけない状態で歩いたりするようになります。

【膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療法】重度になると手術が必要

【膝蓋骨脱臼(パテラ)の治療法】重度になると手術が必要

膝蓋骨脱臼の治療は、保存療法と外科的手術の2種類があります。

グレードが低い段階から適切な治療を受けることで、重症化を防げるため、気になる症状が現れたら受診を検討しましょう!

グレードが低い場合に多い保存療法

グレードが低く症状がほとんどない場合や、麻酔のリスクなどにより手術ができない場合に行われます。鎮痛剤を利用して膝関節の炎症を抑えたり、サプリメントを投与したりする方法です。

膝蓋骨周辺の構造を変化させるものではないため、根本的な治療ではありません。脱臼を繰り返さないように維持し、症状の悪化や病状の進行を防ぐために選択されます。

症状が進んでくると適応になる外科的手術

歩行が困難な場合や、保存療法を行っても脱臼を繰り返す場合、症状が進んでグレードが高くなってしまった場合に行われます。

成長期は、膝蓋骨脱臼が他の部位の筋肉や骨格形成に悪影響を及ぼす可能性があるため、手術を選択することもあります。滑車溝を深くする滑車造溝術など、症状や犬種、年齢によってさまざまな手術方法があります。

【膝蓋骨脱臼(パテラ)の予防法】犬の関節は日々のケアが大切

【膝蓋骨脱臼(パテラ)の予防法】犬の関節は日々のケアが大切

膝蓋骨脱臼は予防することができます。症状が出てしまった場合もこれから紹介する対策を行うことで膝関節への負担を減らすことが可能です。

床のすべり止め

フローリングやタイルの床は滑りやすく、膝関節への負担が大きいです。犬が日常生活を送る場所は、カーペットなど滑り止めになるものを敷くようにしましょう。

また、爪や肉球の間の毛が伸びていると足が滑りやすくなるため、定期的なケアが大切です。

減量

人間と同様、体重が重いと膝にかかる負担が大きくなります。適正な体重を保つようにしましょう。

犬の理想体型は「適度な脂肪がついていて、肋骨がうすい皮下脂肪の層の下に触れる体型」が目安です。もし愛犬の体型が、脂肪で肋骨がさわれない状態であれば肥満の可能性が高いです。

肥満は関節だけでなく様々な病気のリスクとなります。フードの見直しや散歩量を増やし理想体型を維持することを心がけましょう。

関節ケア用のサプリメント

不足しがちな栄養を効率よく摂取できるのがサプリメントの特徴です。犬にサプリメント?と思うかもしれませんが、動物病院で処方されることもある一般的な予防方法です。

関節を滑らかに動かす関節ケア用のサプリメントで日々のケアを行うこともできます。コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなどは関節の健康をサポートする代表的な成分です。これらは人間の関節ケアでもよく聞く成分ですよね。

サプリメントと聞くと錠剤のイメージがありますが、液体タイプのものやおやつ型のものもあります。

 

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犬のスキップがみられたら日々のケアと病院での治療を組み合わせてパテラの悪化を防ごう

4本足で歩く犬にとって、膝蓋骨脱臼は動きを制限され、大きな負担になります。早い時期に気付くことで症状が軽いうちに治療を行うことができるため、膝蓋骨脱臼について知り、日ごろから注意して観察しておくことが大切です。

仮に重症化してしまったとしても、悪化しないための対策や治療法はあります。日々のケアと治療の両輪で、愛犬が快適に過ごせるようにサポートしてあげましょう。

主な症状・お悩み
  1. 犬の足
  2. 犬の関節

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