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ペットと薬剤耐性の関係 | 耐性菌の危険性や犬や猫への抗菌薬の飲ませ方を解説

近年、薬剤耐性菌が増加しており、大切なペットや生活を脅かす存在になっています。

この記事では、ペットの薬剤耐性を中心に、正しい薬の与え方や人への感染リスクなど、飼い主の皆様が知っておくべき情報をわかりやすく解説します。薬剤耐性に関する疑問や不安を解消し、大切な愛犬や愛猫の健康を守るための正しい知識を身につけましょう。

犬や猫の薬剤耐性(AMR)とは?

近年、薬剤耐性(AMR)という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、細菌などの微生物が、抗菌薬(抗生物質)に対して抵抗力を持つようになる現象を指します。つまり、これまで効果があった薬が効かなくなってしまうということです。

薬剤耐性が進むと、感染症の治療が困難になり、重症化や死亡のリスクが高まります。ペットにおいても、薬剤耐性菌による感染症が増加しており、深刻な問題となっています。

薬剤耐性の主な原因の一つは、抗菌薬の不適切な使用です。人間だけでなく、ペットにおいても、抗菌薬は獣医師の指示に従って正しく使用することが重要です。

抗菌薬の役割

抗菌薬は、細菌による感染症を治療するために使用される重要な薬です。細菌を殺したり、増殖を抑えたりすることで、病気を治す手助けをします。

しかし、抗菌薬は万能ではありません。ウイルス性の感染症や、細菌以外の原因で起こる感染症には効果がありません。また、抗菌薬を不必要に使用すると、薬剤耐性菌が出現するリスクを高めてしまいます。

ペットの健康を守るためには、抗菌薬を正しく理解し、獣医師の指示に従って適切に使用することが大切です。

薬剤耐性の2050年問題

薬剤耐性(AMR)は、世界的な問題として深刻化しており、「2050年問題」という言葉も生まれています。これは、薬剤耐性対策が十分に進まなければ、2050年には薬剤耐性菌による死亡者数が大幅に増加する可能性があるという予測に基づいています。

ペットにおいても、薬剤耐性菌による感染症は増加傾向にあり、治療が難しくなるケースも少なくありません。薬剤耐性対策は、人間だけでなく、ペットの健康を守るためにも重要な課題です。

私たち一人ひとりが、抗菌薬の正しい知識を持ち、適切に使用することで、薬剤耐性の拡大を防ぐことができます。ペットの健康を守るために、獣医師と協力して、薬剤耐性対策に取り組んでいきましょう。

犬や猫の耐性菌はどのようにして増えるの?

ここまで解説した通り、薬剤耐性菌は抗菌薬が効かない細菌のことです。では、なぜこのような細菌が増えてしまうのでしょうか。その背景には、抗菌薬の使用と細菌の進化という2つの要素が深く関わっています。

抗菌薬が使用されると、ほとんどの細菌は死滅しますが、一部の細菌は遺伝子の変化などによって抗菌薬に耐性を持つことがあります。これらの耐性菌は、抗菌薬が存在する環境下でも生き残り、増殖していきます。

抗菌薬の不適切な使用が繰り返されると、耐性菌が優勢になり、感染症の治療が難しくなってしまうのです。正しい抗菌薬の投薬方法については記事の後半で解説します。

細菌が耐性を持つようになる仕組み

細菌が抗菌薬に対して耐性を持つ仕組みは、いくつか存在します。具体的には、以下のような方法で抗菌薬への耐性を獲得していると考えられています。

  1. 化学反応で抗菌薬が効かないようにする(ベータラクタマーゼ)
  2. 大量の粘液(バイオフィルム)を分泌して自身を保護する
  3. 抗菌薬を菌自身の体から排出する
  4. 菌のなかに抗菌薬が入りにくくする
  5. 細菌が遺伝子を変異させ抗菌薬を効かない状態になる

これらの仕組みによって、細菌はさまざまな抗菌薬に対して耐性を獲得し、生き残ることができるようになります。

動物の薬剤耐性菌は人に感染するリスクも

犬や猫などの体内に存在する薬剤耐性菌は、人に感染するリスクも抱えています。

例えば、サルモネラ菌やカンピロバクターなどは、動物から人へ、食品や接触などを介して感染することで知られる細菌です。これらの細菌が薬剤耐性を持っている場合、感染した際に治療が困難になる可能性があります。

ただし、薬剤耐性菌の問題は、こうした人獣共通感染症に限ったことではありません。動物の体内や周囲の環境に耐性菌が存在することで、それが人に移る・人の体内や生活環境に入り込む可能性があり、感染症として発症しなくても耐性菌の拡散に関与することがあります。

特に、免疫力の弱い人や高齢者、子どもなどは、こうした耐性菌による感染で重症化するリスクが高まります。

動物由来の薬剤耐性菌による感染症を防ぐためには、動物の健康管理だけでなく、食品の衛生管理や、動物との適切な接し方などが重要です。

耐性菌は「人から動物へ」も広がる?

薬剤耐性菌のリスクは、動物から人へだけでなく、人から動物へ広がる可能性もあります。

例えば、人の医療現場で使われる抗菌薬の影響で、耐性菌が人の体内や生活環境に広がり、それがペットに移ることもあります。そのため、人の医療の現場でも、抗菌薬を必要なときに適切に使う「薬剤耐性対策」が進められているのです。

人と動物が身近に暮らす今、私たち一人ひとりが意識を持って行動することが、ペットと人の両方の健康を守ることにつながります。

薬剤耐性を防ぐには愛犬や愛猫に正しく抗菌薬を与えよう

犬や猫などの健康を守り、薬剤耐性の広がりを抑えるためには、抗菌薬の適切な投与方法を理解しなければなりません。

基本的に抗菌薬は、獣医師の指示に従って、正しく使用することが大切です。自己判断で使用したり、途中でやめてしまったりすることは、薬剤耐性を招く原因となります。

ここでは、薬剤耐性菌の広がりを防ぐための、正しい抗菌薬の与え方について紹介します。

抗菌薬は処方された分をしっかりと飲み切る

獣医師から処方された抗菌薬は、指示された期間、量をしっかりと飲み切ることが大切です。症状が改善したからといって、途中で薬をやめてしまうと、生き残った細菌が薬剤耐性を獲得してしまう可能性があります。

処方された抗菌薬は、獣医師の指示に従い、最後までしっかりと投与することが薬剤耐性対策の第一歩です。

以前処方された抗菌薬は自己判断で与えない

以前に処方された抗菌薬が残っている場合でも、自己判断で犬や猫に与えることは絶対にやめましょう。

症状が似ていても、原因となる細菌が異なれば、薬の効果は期待できません。それどころか、不必要な抗菌薬の使用は、薬剤耐性菌を増やしてしまうリスクを高めてしまいます。

また、薬の量や投与期間も、その時の症状や犬や猫の状態によって異なります。自己判断で薬を与えることは、ペットの健康を害する可能性もあるため非常に危険です。

必ず獣医師の診察を受け、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。

愛犬や愛猫が薬を飲んだことをしっかりと確認する

犬や猫に薬を与えた後は、きちんと飲んだことを確認することが大切です。

犬や猫は与えられた薬を吐き出してしまうことがあります。特に隠れて薬を吐き出してしまうことがあるため、しっかりと飲み込んだことを確認することが欠かせません。

薬を飲んだかどうか分からないまま放置してしまうと、十分な効果が得られず、症状が改善されないケースもあります。また、薬の効果が不十分で生き残ってしまった菌が、薬剤耐性を獲得する原因にもなりかねません。

薬を与えた後は、犬や猫の様子をよく観察し、確実に飲んだことを確認するようにしましょう。

薬剤耐性菌はワンヘルスの考え方が大切

今回は、犬や猫などのペットの薬剤耐性について解説しました。

薬剤耐性菌が増えると、感染症が治りにくくなるだけでなく、人や環境中に拡大するリスクや、人からペットに感染するリスクもあります。大切な愛犬や愛猫との暮らしを守るためにも、しっかりと対策をしなければなりません。

薬剤耐性の対策を考えるときは人間の都合だけでは解決できません。人間とペット、環境のことも考えて、横断的に考えるワンヘルスを意識することが大切です。

まずは、犬や猫へ抗菌薬を飲ませる方法をしっかりと守り、大切な家族であるペットから薬剤耐性菌が生まれないようにしましょう。ペットの健康で困ったことがあれば、獣医師に相談することをおすすめします。

以下のサイトでは、薬剤耐性に関する詳しい情報を公開しています。この記事をご覧になって、さらに薬剤耐性について学びたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

飼い主向け薬剤耐性対策普及啓発動画(3分ver) 農林水産省公式Youtubeチャンネル「maffchannel」

かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使って薬剤耐性(AMR)対策~ | 国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター AMR臨床リファレンスセンター

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